
【機材提案】学園祭の体育ライブ館編
学園祭で体育館ライブをするためには、多かれ少なかれPA機材が必要です。
しかし、初めてPA機材を準備する人にとっては、何を買って良いのか分からないという悩みが出てきますよね。
実際に僕がPA機材を購入する時もそうでした。
当時はあまりネット上にもまともな情報が無く困ったのを覚えています。
そんな方のために学園祭で使用するのにおすすめの機材を提案させていただきます。
こちらの記事では、学園祭で体育館という会場でライブをする場合を想定してPA機材をご提案させていただきます。
目次
提案するPAシステムのポイント
体育館は、文字通り、体育(スポーツ)をやるための場所であり、少なくとも音楽をやるための場所ではありません。
ですので、壁に吸音処理がされている訳でもなければ、防音工事がされている訳でもありません。
そして、体育館でライブをやる際に一番厄介なのが残響です。
体育館は行ってしまえば、吸音処理がされていない大きなホールと言うことができます。
しっかりと計算された吸音処理が行われているホールでは、適度な残響があるのです、体育館の場合は、「残響あり過ぎ・・・」という状態になってしまいます。
響きすぎてバンドの音がぐちゃぐちゃになってしまうなんてことも起こり得るかもしれません。
ただし、だからと言ってスピーカーから出す音量を小さくしすぎると、今度は音に迫力がない感じになってしまいます。
体育館で使用するPAシステムのポイントは、迫力を出すためにサブウーファーなども加えた高出力なスピーカーシステムを組むのが良いと思います。
しかし、そのまま大きな音を出しただけでは音は言うことを聞いてくれないでしょう。
そこで必要なのがスピーカーのチューニングです。
チューニングによって、響きすぎて気持ち悪い帯域の音をカットしてあげるという処理をすると、かなりの残響がある体育館でもある程度聴きやすい音を実現できるのですね。
それでは、そんな厄介な体育館でのライブをする時にはどんな機材を使用したら良いのかを具体的に解説していきます。
おすすめのPA機材
「【機材提案】学園祭の教室ライブ編」では、ボーカルやキーボード、アコギなどの楽器以外は基本的には生音でいきましょうという提案をさせていただきましたが、体育館の場合はそうはいきません。
生音でも聞こえなくはありませんが、迫力が出ないですからね。
そこで、体育館クラスの会場でライブをやる際には、楽器は全てマイキングするというのが基本になります。
全てマイキングすることで、ミキサー側で各楽器のバランスを調整してスピーカーから出すことができるようになるため、音のコントロールがしやすくなります。
それでは、実際に使用するPA機器をご紹介していきます。
マイク・DI
ボーカル用マイクとしては、やはり定番のSHURE SM58使うのが良いと思います。
性能と耐久性、価格のバランスが絶妙に素晴らしい商品です。
そして、楽器用マイクも必要ですね。
楽器用マイクでおすすめなのが、SHURE SM57です。
このマイクは、SHURE SM58のグリルボール(銀色の網の部分)を取っ払って、狭いところにもマイクを設置しやすいように専用のパーツを取り付けたものです。
ですのでの、マイクの基本構造はSM58と一緒なのですが、ウインドスクリーンの使用の違いによる多少の音質の違いはあります。
ちなみに僕の場合は、SM57をドラムのスネアとギターアンプの収音に使用しています。
SM58同様に耐久性が高く、信頼のおけるマイクです。
ただし、ドラムのスティックでヘッドの部分を叩かれるとさすがに壊れますので、マイクをスネアに設置する時には設置位置に注意が必要です。
次は、バスドラム用のマイクです。
SM57でも拾えないことはありませんが、ずっしりとした低音をとらえることは難しいです。
ですので、バスドラムの集音をする際には低音専用のマイクを使用する必要があります。
世の中にはいくつも低音用マイクが販売されていますが、その中でも僕がおススメするのは、audio-technica ATM25です。
低音専用のマイクで、バスドラムはもちろんのこと、フロアタムなどに使っているエンジニアさんもいらっしゃいますね。
低音用のマイクを使用すると、バスドラムの音は見違えるように良くなりますので、音に迫力を出したいのであれば、マストアイテムですね!!
ドラムのタムには、AUDIX D2がおススメです。
別売りですが、タムのフープに取り付けることができる専用のホルダーがありますので、それを使って設置すればすっきりとマイクを設置することができます。
タムのマイクをマイクスタンドで設置するのは設置作業が大変になるため、あまりおすすめできません。
特に対バン形式のライブの場合は最悪です。
そして、複雑なドラムセットを組まれてしまったら更に大変になります(笑
ですので、タムのマイクは専用のホルダーがおススメです。
ドラムのマイキングをする際には、基本的にはそれぞれのパーツごとにマイクを立てていくのですが、シンバルの場合は、複数のシンバルを1本のマイクで収音する場合が多いです。
基本的には、ドラムの頭上に左右1本ずつマイクを設置するのが一般的です。
ドラムの頭上にマイクを設置するため、オーバーヘッドマイクなどと呼ばれたりもしますね。
そんなオーバーヘッドマイクのおススメは、AKG C451Bです。
このマイクはコンデンサーマイクと呼ばれるマイクで、使用するにはファンタ無電源という電源をミキサーなどから供給してあげる必要があります。
コンデンサーマイクについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

また、ハイハットに関しては、シンバルでもリズムを刻む重要なパーツであることから、単独で収音する場合が多いかと思います。
その場合もAKG C451Bがおススメです。
ちなみに、いろいろな種類のマイクを別々に買うのが面倒くさいという方は、以下のようなドラムマイクセットを購入されても良いかと思います。
ミキサー
体育館で行うライブでは、すべての楽器をマイキングすることが前提であることから、チャンネル数はかなり余裕を持たせておいたほうが良いでしょう。
おススメは、YAMAHA MGP32Xです。
24本のマイクを入力することができますので、ドラムをフルマイキングしてもお釣りがくるかと思われます(笑)
ミキサーのチャンネル数というのは、余裕があるに越したことはありません。
いくら事前にセッティング表をもらっていたとしても、当日に「すいません!もう1本マイクありませんか?」というようなことはよく起こります。
そのようなことにも即時対応することができれば、PAをする側も出演者側もフラストレーションがたまることはありませんからね。
そして、今の時代はミキサーもデジタル化しています。
ちなみに、PA機器業界のデジタル化は他の業界と比べると死ぬほど遅いです。
しかし、PA機器もデジタル化していくことは間違いありません。
どうせミキサーを新しく買い換えるのであれば、デジタルミキサーを購入するというのも選択肢としてはアリかと思います。
ちなみに、オススメはBRHRINGER X32です。
コストパフォーマンスがめちゃくちゃ高いミキサーです。
同レベルの機能のミキサーは、300万円近くしてしまうのですが、X32であればその1/10で済んでしまいます。
興味のある方は、ぜひ以下の記事も合わせて読んでみてください。

デジタルミキサーを使うことで、設営時間も短縮されるし、オペレーションも効率化されますし、良いことしかありません。
ぜひご検討を!
パワーアンプ・スピーカー
続いてスピーカーシステムのご提案です。
体育館に集まったお客さんに迫力のある音を届けるためには、それなりの音量・音圧が出せるスピーカーが必要です。
そして、そのようなスピーカーをしっかり鳴らすためのパワーアンプも必要です。
今回はパワーアンプからいきましょう。
Electro VoiceのQ1212です。
とてもパワー感のあるアンプです。
重量は重くてちょっと嫌になりますが、その分しっかりとした音を出してくれるという感じでしょうか(笑)
そして、メインスピーカーは同じくElectro VoiceのELX215というスピーカーです。
このスピーカーは、デュアルウーファーといって、中低音を出すためのウーファーという大きくて丸いスピーカーが2つ入っています。
ウーファーが2つ入っているので縦長の形になっているんですね。
Q1212と組み合わせるととても良い音で鳴ってくれます。
ELX215だけでもいい感じの音は鳴らしてくれますが、もっと迫力を求めたい場合は、サブウーファーと呼ばれる低音域専用のスピーカーを追加すると良いでしょう。
オススメは、ELX118です。
ELX215と同じシリーズのスピーカーなので、相性も良く、低音域から高音域まで綺麗な音を出してくれます。
メインスピーカー(フルレンジスピーカー)とサブーウーファーとの接続方法については、以下の記事をご参照ください。
スタンド類
PAで使用するスタンドには「マイクスタンド」「スピーカースタンド」があります。
スタンドは、重量感があり、しっかりとしたものの方が転倒などが起こりにくいため、そのようなものを選ぶと良いです。
そうなると、マイクスタンドはK&M 21020B(ST210/2B)が良いと思います。
スタンダードなマイクスタンドで、とても使いやすいですね。
マイクの数+αの本数を準備しておくようにしましょう。
ケーブル類
PAで使用するケーブルには、「マイクケーブル」と「スピーカーケーブル」があります。
それぞれ使われる場所は以下の通りです。
【マイクケーブル】
・マイクとミキサーの間
・ミキサーとパワーアンプの間
【スピーカーケーブル】
・パワーアンプとスピーカーの間
マイクケーブルには、通常はXLRという端子が付いているケーブルを使用します。
ケーブルは、既製品でも売っていますが、ある程度の本数を準備するのであれば自作するのも1つの手です。
僕は、マイクケーブルやスピーカーケーブルは材料だけ買ってきて自作しています。
ちなみに、僕の場合は、ケーブルはカナレのケーブルで、コネクターはノイトリックというメーカーのものを使っています。
完成するとこんな感じになります。
スピーカーケーブルについても、ケーブルはカナレ、コネクターはノイトリックのものを使っています。
スピーカーケーブルに使われるコネクターは、スピコンというロック機能が付いているコネクターです。
完成品は以下のような感じです。
まとめ
体育館でのライブは、会場が広いゆえに、しょぼいPAシステムでやってしまうと、よりしょぼく見えてしまうというのがあります。
ですので、ある程度、音量・音圧が出せるスピーカーを使用することと、それぞれの楽器を個別でマイキングしてあげる必要なため、24〜32チャンネルくらいのミキサーが必要になってきます。
PAシステムは、規模が大きくなると、それに応じて必要な機材が芋づる式に出てくるのでちょっときついですが、学園祭のような一生の思い出の場所はしっかりとしたPA環境でライブをしてもらうのが僕としての希望です。
機材選びで困ったことがあれば、お気軽にコンタクトフォームからご質問ください。
それでは。
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